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科学技術振興機構(JST)が発行した「文化を目指す創造型科学技術研究とその進め方」という研究報告書があるのだが,これがとても面白い.内容は元東大の原島博先生が研究統括をされていた戦略的創造研究推進事業(CREST)「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」研究領域の各研究代表者を原島先生がインタビューされるという構成なのだが,お役所の刊行物(と一括りにしては失礼なのだがどうか許されたい)としては驚くほど示唆に富んでいる.
この研究領域は独立行政法人科学技術振興機構という科学技術をプロモートする政府系機関が,日本の工学と芸術を結びつけることを目的とした研究領域で,名だたる工学系研究者,芸術系研究者が名を連ねている.
インタビュー中よく出てくるのが,工学系研究者と芸術系研究者のぶつかり合いなのだが,その中で工学系研究者がふと自分の立ち位置を振り返るシーンが必ず出てくる.
工学って,科学なのか,技術なのか?
僕はこの話題を見るといつも D. E. Knuth 博士を思い出す.工学と同じ概念はかつてartと呼ばれていた.artの語源となったラテン語arsに対応するギリシャ語はtechneで,これはtechniqueの語源になった.
技術も芸術も「術」,人の手によって作られるもの,つまりartefactであり,それにいたるプロセスだ.そして,そのプロセスになにがしかの普遍性を求めようとする活動が学問だ.
近代の(日本の)工学は,この立脚点をあまりに置き忘れていないだろうか.Artefactを作って,人を幸せにするという立脚点を.(基礎研究が主戦場の研究者はSFを書けばいい!)
たぶん,医学・医術分野ではもう何十年も繰り返された議論だろう.たぶん我々も学ぶべきだと思う.
世界を変えるには,まず自分から変わらなきゃ.
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