5 posts tagged interactive art
ALFA ROMEO Love Giulietta イベントの松尾高弘さん作品(ビデオ)に技術協力しています.
僕は作品づくりもするのですが,彼と仕事をするときは一職人に徹しています.(あ,でもここで名前出しちゃったら職人に徹しているとは言えないですね.)良い例えかどうかわからないですが,音楽プロデューサが,別の人がプロデュースするバンドに入って演奏するような感じで,いつも新鮮な刺激をもらっています.
彼と話しあって気づいたことのひとつに,メディアアーティストには絵の具が無いということがあります.最先端の技法を使ったアートは現在ではメディアアートと呼ばれていますが,かつてのビデオアートだって,映画だって,写真だって,それこそ水彩画だって,技師がいなければつくれなかったのです.
いまメディアアートと呼ばれているものがやがて当たり前になり,アーティストはさらに次へ進んでいることを,僕は夢見ます.
僕の正式な所属は大学院工学研究科,英語で言えば Graduate School of Engineering です.エンジニアリングの学校という意味ですね.英語圏で,産業革命よりも前はエンジニアリングのことをアートと呼んでいました.アート=ものづくり,ですね.アートの語源のラテン語アルスに対応するギリシア語はテクネ(英語のテクニックの語源)で,こちらはほぼ語源の意味がそのまま残っているようです.
僕にとっては絵を描くことも電子回路を組み立てることも同じくアートでありエンジニアリングです.(現代の意味でいうテクニックも必要ですし.)
エンジニアリングがサイエンスと合わさって,さらに直感力で切り通したものが,デザインなんだと思います.
彼のために設計したコンピュータシステムのアーキテクチャを,来月一般公開できそうです.
Pineapple II 試作機完成.
センサからのアナログ入力をサンプリングし,MIDIノート信号へ変換して送信します.ホストコンピュータ不要で,電源,センサ,MIDIケーブルをつなぐだけですぐに使えます.
Mac の Quartz Composer とも連携できますので,インタラクティブ映像も簡単につくれます.
神戸ビエンナーレ,ホテルオークラ神戸のお正月イベントで好評を頂いたインタラクティブ・メディア・アート作品 Polyphonic Jump! の中身をご紹介します.
Polyphonic Jump! は10m幅のキャンバスに描かれた森の中に鑑賞者の映像が投影され,キャンバスの上を動きまわる手描きアニメーションの動物たちとインタラクションが出来る作品です.
この作品のために,Kinectを使ったマーカレスモーションセンサが使われました.鑑賞者の動きは3Dでトラッキングされ,鑑賞者のジャンプはリアルタイムに検出されます.
検出された動きデータは,Kinectにつながった Windows PC からアニメーションを生成する Mac サーバへHTTPリクエストとして送られます.Mac サーバでは Scheme インタプリタ上で動いているHTTPサーバがリクエストを解釈し,適切なフレームデータを計算してPCへXMLで送り返します.
XMLデータを受け取ったPCはXMLを解析し,画像を読み込み,OpenGLを使って画像をレンダリングします.プロジェクタが3台あるので,隙間が出ないように,また位置がずれないように,スムーズにプロジェクタ間をつなぐような処理が行われています.またキャンバスは平面ではないので,ホモグラフィを使った幾何補正も行われています.
バックエンドのHTTPサーバにLISPの一種であるSchemeを使うことは,作品作りの初期から決まっていました.というのも,アーティストと共同で制作するメディアアート作品の場合,仕様というものが最初からないのですから.
Walking on water and developing software from a specification are easy if both are frozen. —- Edward V Berard
(水の上を歩くのと,仕様からのソフトウエア開発は,簡単だ.・・・両方とも凍っているならの話だが.)
という格言があるぐらい,仕様が固まっていないソフトウェア開発というのは困難ですが,そもそも最初から仕様がない場合,開発は不可能とさえ言えます.そこを無理やり進むには,LISP系言語以外に選択肢はありません.
なぜでしょうか.プログラマというのは,目的にあわせて言語を選ぶものです.目的がはっきりしないときに,できるだけ汎用的な言語を選ぶのは非効率です.目的がはっきりしないときには,言語そのものをデザインできる言語を選ぶのです.というわけで,Schemeが選ばれたのは当然の成り行きでした.
開発の過程で,ほぼ毎日,目標が動きました.動く目標を撃つには,何度も,少しずつ,やり直すしかありません.もしLISP系言語以外の言語を採用していたら,おそらく何度もフルスクラッチからやり直すことになっていたでしょう.マクロと,動的型付けと,ファーストクラスクロージャは,例えばクラステンプレートやポリモーフィズムやジェネリックよりもずっとうまく,動く目標を撃つ手助けになりました.
サーバとクライアント間のプロトコルをHTTPとXMLに決めておいたことも幸いしました.サーバのデバッグにはまずFirefoxを使って,想定されたXMLをちゃんとサーバが返しているかの確認が行われました.(ChromeはURLを先読みしてHTTPリクエストを投げてしまうので,デバッグには使いませんでした.)
ある程度サーバの形ができてきた時点で,Mac上でレンダラのシミュレータを作りました.中身は Objective-C 2.0 + Cocoa (XML parser, Aqua UI) + Core Animation で,Mac OS X の優れたライブラリのおかげで100行未満のコードで本格的なシミュレータが完成しました.
レンダラシミュレータはサーバの開発効率を飛躍的に向上させました.シミュレータを見ながら,サーバのコードを試行錯誤して,つくり直していくのです.
このようにして,Polyphonic Jump! は完成しました.
The interactive media art Polyphonic Jump! is coming back to Kobe! From 1st to 3rd January, 2012, the Polyphonic Jump will be exhibited at Hotel Okura Kobe. (Admission: 200 JPY.)
The Polyphonic Jump! is an apparatus for human beings to be immersed in fantasy world where many creatures chorus in polyphony. Audiences stand in front of a round-shaped screen on which natural scene is hand-drawn, and jump to watch how animated animals interact them.
神戸ビエンナーレ(2011年10月1日〜11月23日)アート・イン・コンテナ展で大好評だった「ポリフォニック・ジャンプ!」が再び神戸に帰ってきます.2012年1月1日,2日,3日,ホテルオークラ神戸にて.(入場料200円)
Loading posts...